いい会社にして、いい世の中に

今回のリモート対談は、私がこの業界に入って間もない頃から大変お世話になっております

株式会社やまと蜂蜜の昨年代表取締役社長に就任された鳥居大嗣様です。

株式会社やまと蜂蜜

代表取締役社長 鳥居 大嗣 様


(菊池:以下K)

はじめに貴社の生い立ち、事業内容について教えてください。


(鳥居様:以下T)

祖父が高校生の頃から趣味で蜂を飼っていたことから、戦後養蜂をはじめました。

その後ダイエーさんに納入開始し試行錯誤している中、

製糖会社と組んでガムシロップの製造を始めます。

そして、個食用のポーションパックに特化した事業を展開し今日に至っています。


(K)

ガムシロップは今では当たり前ですが、貴社が始められたのですか?


(T)

祖父が南米コロンビアへ養蜂指導に向かう際、

機内で出されたポーションパックを初めて手にしたことをきっかけに、

日本で初めてポーションのガムシロップの製造を始めました。

昔は砂糖を水で薄めたシロップに、糖の結晶を防ぐ目的でアラビアガムを

入れたことから「ガムシロップ」という名称になりましたが、

現在の中身は異性化糖ですので正確には「ガム」は入っていないことになります。

一部「シュガーシロップ」等の名称で販売している所もありますが、

結局は「ガムシロップ」という名前が定着することになりました。

喫茶店やファミレス、ファーストフードなどに納入し、

今では競合となっているメーカーさんの受託製造も行っていました。


(K)

私とお付き合いが始まった頃、ガムシロップから、

いわゆるフレーバーシロップの製造が増えてきた頃でした。


(T)

1990年代になり、大手飲料メーカーと希釈して飲む事ができる

個食向けのポーションの開発が始まりました。

コーヒーや紅茶など、水や牛乳で割って飲むタイプです。


(K)

エキスを濃縮して入れる訳ですから、成分が析出したり沈降したり、

色々苦労しましたよね。

一つ一つ課題をクリアしてきて、売り上げの構成比は変わりましたか?


(T)

やっぱりガムシロが主体ですよ。生産性が全然違いますからね。

1日100万ポーション、年間250日動かしたとして、約2.5億個は作っています。


(K)

日本人1日2個消費している計算ですか???凄い量ですね。

やはりコロナの影響は受けていますか?


(T)

世界的に見て、コロナと中国インパクトの2つあり、その両方の影響を受けています。

コンビニコーヒー向けで約4割減です。やはりオフィス需要が大きかったのかなと思います。

ただスーパーやドラックストアが伸びているので、売り上げでいくと横ばいです。

ただ、製造数量を確保するために利益を削っていることもあり、

年々厳しい状況になってきていますね。


(K)

そういう中でコーヒー、紅茶、抹茶など濃縮飲料の

ポーションが中国市場向け含めて好調ですよね。


(T)

昨年は中国向けで弊社の売り上げの約3割に達しました。

中国のマスコミから取材を受けて、中国の経済ニュースにもなっていたようです。

日本の新聞に載るより先に、中国の新聞に載りました(笑)


(K)

すごい購買力ですね。


(T)

中国人にとってみると新しい市場ということでコーヒー文化が

定着してきていますから、まだまだ伸びてくる市場と考えています。

いつまで日本から買ってくれるかという懸念はありますが、、、


(K)

前職は中国に工場があり、何度も行ったことがありますが、ホテルに置いてある

インスタンコーヒーには、砂糖とクリーミングパウダーが入っていて、

甘いだけの飲み物でした。貴社が製造している濃縮コーヒーは、

無糖、微糖タイプでしょ?

中国においてもコーヒーの飲み方が変わってきていますね。


(T)

数量的には無糖が多いですね。


日本でも最初の頃は加糖した濃縮ポーションが主流でしたが、

エキスの抽出技術や製造技術の向上から、砂糖を入れなくても

安定した品質で商品が作れるようになりました。

その他には、うどんのつゆ、ステーキソース、鍋のもと、ドレッシングなど、

様々なものがポーション(個食)になってきています。

あとユニークなものとして、従来は錠剤やカプセルだった

栄養補助食品だったものがゼリー状になってポーションになりました。


(K)

高齢者の方など1日に何度も多くの錠剤を飲まなければならなくなってきた方にとって、

水無しで食べることができるというメリットがあるのですよね。


(T)

コロナの影響でお取引様からの新商品案件はストップする事が増えました。

そこで自社商品を増やしていこうと、営業体制を変えて力を入れているところです。

やりたいことはたくさんあるのですが、会社力をつけることに注力しています。

実力をつけるための糧になるチャレンジを行っていこうと思います。

但し、個人的に背伸びしてもいけないと思っています。

着実に業績を上げて、通販などでチャレンジしている状況です。


(K)

チャレンジという意味で前会長の思い出があります。

10年以上前になりますが、チョコレートシロップ商品化の際、

レシピを作るまでは良かったのですが、製造に落とし込む際に、

販社の担当者と製造先を探して困っていました。

当時の会長の一声で数千万円の設備を入れて頂き、現在も続いています。

あの時が私の研究開発に取り組む姿勢のターニングポイントだったように思います。


当時の私は、技術に勝るものはないと自負していましたが、

モノづくりは人と人で作り上げていくということを勉強させて頂きました。

一方的ですが、当時の販社のご担当者や貴社の現場で一緒に仕込みをしていた方とは

戦友のような感じで思っています。

後に営業に異動になって自由奔放な日々を過ごされている方も含めて、、(笑)


(T)

そう言えば、先日も一緒にどこか行ってませんでしたか!?


(K)

あれはもちろん仕事です!(笑)。

新規案件で、テクニカルアドバイザーとして同行しました。

ドラマでいう「友情出演」的な感じです。

彼は、私のコンサルティング先になればと考えてのことだと思います。

本当に有り難いです。


(T)

そう言えば、こないだ130でした。ギアを新しくしたのですが、、、

そっちのコンサルはいつから始めるんですか??


(K)

やっぱりその話になりますか!(笑)

いえいえ、まだまだそちらは修行中の身です。

理論は一人前と言われるのですが、コースで結果を残せていませーん。

時を戻しましょう。

社長業としてどのようなお考えを持っていますか?


(T)

変化すること、変わらないことを見極めていくことが大切だと思います。

人と人で商売できているところは、変えたくないと思っています。

「企業は人なり」という会社の理念にもあるように

安定した雇用を生み出すということはメーカーとしての意義だと考えています。


(K)

当時の部長が嘱託社員として残っておられるし、

その息子さんも現場で頑張っているし、ご夫婦で勤めている方もいらっしゃいます。

昔ラインテストが夜遅くまで続いて帰ろうとしたら、営業が車のライト付け放しで

エンジンかからず、部長が家にブースターを取りに帰って助けて下さいました。


(T)

そう言って頂けるような事が会社の財産となっています。

効率効率と言われる時代ですが、そこは変わらないでいこうと考えています。


(K)

いつか弊社と契約して頂きたいので、ちょっと褒め過ぎましたか(笑)

結婚のご予定は?


(T)

全然予定がないんですよね〜


(K)

そっちのコンサルが先ですね(笑)


(T)

コロナの影響で、直接ご挨拶周りができず、仕入れ業者さんと面談が多いですから、

あまり良くない傾向かと思っています。

ステイホームが続くと婚期が遅れていきますね。

公私含めて外に出ていかないと思っています。

現営業部長の頑張りのおかげで、

一社への依存度はどんどん減ってきています。

選択肢をあまり絞らずに、いろんなことにチャレンジしながら、

体力をつけていき、いつか飛躍するために大胆にいこうと思っています。


会社を大きくしたいという思いはあります。

雇用を生んで、今の従業員の待遇を上げていくというシンプルな目標です。

いい会社にして、いい従業員が増えてくれば、いい世の中になっていく。

変化が早いですから、若さを武器にチャンスにチャレンジできる体制を

整えていきたいですね。最終的にこのようなことを伝えたいというような

哲学的なところは時間をかけて練って、言語化して伝えていけるようにしたいです。


(K)

雇用を生み出すということでいくと、私はまだスタートラインに立てていないです。

でもいつか誰かにバトンタッチすることになると思いますので、

その時までに記録しておく必要があると思っています。

その手段として、例えばYouTubeのような動画配信を考えています。

データとして残りますし、興味のある人が簡単に見る事ができます。

生意気ですが、この分野で活動する研究開発者の参考書代わりや、

新しい食品開発のヒントになればと思います。


日本の優れた加工食品の紹介もしたいと思います。

貴社のポーション出してもいいですか?


(T)

ありがとうございます!!

パブリックに発信していくことはこれから大切になりますね。

最終的にはゴルフの情報発信もされるんですか?(笑)


(K)

その時は、御社の営業部長にも出演お願いしないといけないですね(笑)


株式会社やまと蜂蜜

http://www.yamato-honey.co.jp/