日本の伝統技術を遺したい

今回のリモート対談のお相手を頂きますのは

小、中学校の同級生であり、加西商事株式会社取締役の沼野藤憲さんです。

加西商事株式会社
取締役 沼野 藤憲 様

奥様も小、中学校の同級生で(私がキューピット!?)

お互いの兄も同級生であることから、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いております。


菊池(以下K):

早速ですが、

貴社のお仕事内容について教えて下さい。

沼野氏(以下N):

弊社は建物外構の石

(庭の景石や玄関・アプローチ部分の石張り・石積み等)を

中心とした土木工事がメインの会社です。

インバウンドで海外の観光客が増加している中、

『日本らしさ』を演出するには

欠かせないのが建物外構工事。

ところが、それを担う石工の現状は、

高齢化が進み、後継者が育たない状況です。

不況の中で、多くの業者はコストカットが迫られ、

値下げ競争が激化した結果、

それに見合う労働対価が得られなくなった為です。

生々しい言い方をしますと、

石工の苦労が収入に見合わない。

だから、後継者が育たないのです。

『間知石積み』という河川の浸食や

法面の崩壊を防ぐ石積の工法があり、

石積みの中では野面積みに比べれば随分容易なのですが、

関東のある県では職人が数名しか居ない為、

県の土木工事の仕様から

『間知石積み』という文言が消え、

「間知ブロック積み」に代わってしまいました。

コンクリートで出来たブロックの

味気のない外観を許容してしまうと、

その地域から石積み職人が消えてしまうのです。

それは、日本の伝統技術が消えてしまうことと同じです。

(K)

日本の情緒ある風情が

無くなってきているというのは、寂しいですね。

(N)

そうなんです。

弊社では、石を中心に職人を

後世に残すことを理念としております。

職人はその道のプロ。職人(プロ)は、

イレギュラーなことをすることではなく、

当たり前のことを当たり前にこなすことです。

これは簡単なようで実に難しいのです。

職人としての覚悟がない限り、

職務を貫徹することは出来ないのです。

職人の仕事をお客様に納得してもらい

等価交換してもらうのが弊社の役目です。

他の会社と比べて安い・高いではなくて、

自分の下請けの技術を

お客様に納得して買って頂くことが私達の役目です。

ですから、お客様からの安易な値下げには

基本的に応じません。

それでも値下げを求められた時は、

「じゃあ、安くするんやったら弊社の施工しやすいように

 〇〇してもらえませんか?」

と言うようにしています。

下請けからの見積に対しては、

余程のことがない限り値下げは要求しません。

その代わりに、

プロとして手抜き・妥協するような仕事は認めませんし、要求します。

それがお客様に対する誠意であると信じております。

(K)

私の前職は、和菓子を中心とした製菓・製パンメーカーへの

原料供給を行っています。

転職時の社長面接の際、

洋菓子は「足し算」、和菓子は「引き算」

という話に感動し入社を決めました。

和菓子の原材料表記がとてもシンプルになっているのは、

素材の良さをいかに残して、

お菓子にしていくか、

そこに職人の技量が求められるからという、

今まさに石工職人の話と共通することにびっくりしています。

(N)

土地に関わる仕事が多いだけに、

最近は農業分野に関しても模索しております。

弊社は大阪所在の会社ですが、

実際は全国へ出張しての仕事の為、

大阪に拘る必要もないのです。

倉庫が兵庫県西脇市にありますので、

将来的には故郷でもある播州地方を拠点に、

衰退しつつある農業と石を中心とする

土木工事を融合した雇用を生み出します。

コロナ騒動以降、

リモートによる仕事と確実に選択肢が増えており、

人・モノ・金・情報と全て一極集中している東京から、

流出し続けている播州出身の優秀な人材を迎えられるような

雇用を播州で創出していきたいです。

その為にも、

是非御社や播州を拠点とした企業とタイアップしていく、

私が持つ将来への野望です。

(K)

ありがとうございます。

貴社とコラボできるモノづくりを

是非考えていきたいですね。

そして、播州(北播磨)出身者や

この地域を愛する優秀な人材の受け皿となる企業にしていきましょう。

〜次回に続く〜